2025年春闘と賃上げの流れ
連合の発表によると、2025年春季労使交渉では平均賃上げ率が5.42%と、昨年を上回るペースで進んでいます。背景には人手不足の深刻化や人材確保をめぐる競争があり、企業はこれまで以上に「給料で選ばれる存在」であることが求められています。
「賞与の給与化」がもたらす変化
注目される動きの一つが「賞与の給与化」です。たとえばソニーグループは賞与の一部を月給に組み込む形で、初任給を3万8000円引き上げました。他にも大和ハウス工業やバンダイなどが同様の取り組みを進めています。こうした施策により、月々の収入が安定し、生活設計がしやすくなるという利点があります。
特に物価高や生活コストの上昇を意識する若い世代にとって、賞与よりも月給の方が魅力的に映る傾向が強まっています。
日本特有の賞与制度とその課題
日本の賞与は年2回で複数か月分支給されることが一般的ですが、これは海外では珍しいスタイルです。欧米では1か月分程度が主流で、日本の制度は「ガラパゴス化」とも言われています。賞与が多すぎると年収は高く見えても、月給が少ないことで転職市場では不利になるケースもあります。
安定と成果主義のバランスがカギに
報酬制度を巡る動きの背景には、職務やスキルに応じた公平な評価を求める声もあります。職務型人事制度やスキルベースの報酬体系へと移行しつつある中で、企業には安定性とインセンティブの両立が求められています。
これからの企業経営においては、月給と賞与のバランスを見直し、長期的な人材戦略をどう描いていくかが重要なテーマになっていきそうです。

作成日:2025/05/19
日本企業の賃上げと「賞与の給与化」